結論:年商880万円、当期純利益218万円。すべての数字を公開する
先に結論です。
私が代表を務めるひとり法人(合同会社)の初年度の損益計算書(PL)を、すべての数字込みで公開します。
- 売上高:8,812,325円(約880万円)
- 営業利益:3,856,953円(約386万円)
- 当期純利益:2,186,356円(約218万円)
- 法人税等:1,676,470円(約168万円)
「ひとり法人って実際いくら儲かるの?」——この問いへの答えは、当事者にしか書けません。自分の会社の数字を、自分で公開できる立場を活かして、1円単位で全部見せます。
初年度PL全公開(実額テーブル)
まずは決算書の損益計算書を、原本そのままの構造で再現します。
| 科目 | 金額(円) |
|---|---|
| 【売上高】 | 8,812,325 |
| 【売上原価】合計 | 0 |
| 売上総利益 | 8,812,325 |
| 【販売費及び一般管理費】 | 4,955,372 |
| 営業利益 | 3,856,953 |
| 受取利息 | 3,724 |
| 雑収入 | 2,149 |
| 経常利益 | 3,862,826 |
| 税引前当期純利益 | 3,862,826 |
| 法人税等 | 1,676,470 |
| 当期純利益 | 2,186,356 |
このPLを構成する各セクションを、上から順に解説していきます。
売上 880万円の中身:kintone開発が9割を占める
当社の売上は、ほぼすべてが kintone(キントーン)開発・コンサルティングの受託です。
cybozu のオフィシャルパートナーとして、業務改善ツール kintone のカスタマイズや業務フロー設計を中小企業に提供しています。
売上原価がゼロな理由
PLの売上原価が 0円 なのは、当社が完全な 役務提供型ビジネスだからです。
- 仕入れない(在庫を持たない)
- 外注しない(自分で全部やる)
- 原材料がない(売っているのは時間とスキル)
これがひとり法人の最大の強みです。
「売上=粗利」になるため、880万円の売上はそのまま880万円の売上総利益になります。
商売をするうえで、原価率ゼロのビジネスを選ぶことの破壊力は本当にすごい。物販や仕入れ系のビジネスをやっている知人と比較すると、同じ売上でも残るキャッシュが2〜3倍違います。
販売費及び一般管理費 495万円の正体
営業利益を圧迫する唯一の項目が、販管費 4,955,372円 です。
売上の 56% が販管費で消えている計算になります。「ひとり法人なのに、何にそんなに使ってるの?」と思った方、鋭いです。
主な内訳(概観)
- 役員報酬(月額45,000円 × 12ヶ月 + 法定福利費)
- kintone・Google Workspace・マネーフォワード等の SaaS 利用料
- 機材費(PC、モニター、椅子などの 備品・消耗品)
- 通信費・地代家賃・旅費交通費
- 支払手数料・租税公課
役員報酬を月額45,000円に抑えているのは、社会保険料を最小化するための意図的な戦略です。
詳しくは 役員報酬は「月額5万円」が正解!社会保険料を最小化する戦略 にまとめました。
販管費の 科目別の詳細内訳(何にいくら使ったか、無駄遣いだったものは何か)は、次の記事で完全公開する予定です。
営業外収益:法人だからこその「ちょっとした入金」
営業外収益は合計 5,873円 と微々たる額ですが、ひとり法人の運用上、無視できない学びがあります。
- 受取利息 3,724円:法人口座(GMOあおぞらネット銀行)の普通預金につく金利。個人口座とほぼ同じ。
- 雑収入 2,149円:少額の還付金やキャッシュバック。仕訳の都合上ここに計上。
金額自体は小さいですが、「法人口座でも金利はちゃんとつく」という事実は、これから設立する人にとっては安心材料になるはずです。
銀行選びの詳細は ひとり法人の銀行口座・カードはGMO一択。選ばれる3つの理由 を参照ください。
法人税等 168万円のリアル:手取りで計算するとこうなる
税引前当期純利益 3,862,826円 に対し、法人税等として 1,676,470円 を納めています。
実効税率にすると約 43.4%。「えっ、半分近く持っていかれるの?」と思った方、その感覚は正常です。
実効税率が高くなった理由
初年度は 事前確定届出給与の届出ミスで役員賞与300万円を損金算入できなかったのが響いています。
この失敗の詳細は 事前確定届出給与で300万円を損金不算入にした失敗談 にすべて書きました。同じ失敗をする人を減らしたいので、恥を承知で公開しています。
差し引き手元に残ったキャッシュ
当期純利益 2,186,356円 が、来期に繰り越せる内部留保です。
これに加えて、役員報酬として既に個人に流していた 54万円(月45,000円 × 12)が手元にあります。
つまり、ひとり法人 1年目で 会社+個人で約272万円のキャッシュが残ったことになります。
売上880万円から逆算すると 「キャッシュ残存率 約31%」。一般的な目安と比べると、初年度としては悪くない水準です。
数字を全公開して気づいた3つの示唆
① ひとり法人は「原価ゼロ事業」を選ぶと一気に楽になる
売上=粗利になる役務提供型を選んだことで、PLの構造がシンプルになり、月次の意思決定スピードが段違いに上がりました。
② 販管費の56%は「仕組み化のための投資」と割り切る
SaaS や機材に投じた経費は、来期以降の生産性に効いてくる先行投資。
これを「もったいない」と捉えるか「テコ」と捉えるかで、ひとり法人の伸びが決まると断言します。
③ 税金の最適化は「設立2ヶ月目」で勝負がつく
法人税等168万円のうち、事前確定届出給与のミスがなければ 約60〜80万円は節税できた計算になります。
設立直後の手続きの優先度を、絶対に侮ってはいけない。これが初年度最大の学びでした。
このPLを作った体制:日常の記帳は自分で、決算・申告は税理士に
正直に書きます。決算書の作成と申告は税理士にお願いしました。
「自分でできる」と思っていましたが、誤りの発見や法人税の申告は専門知識が必要で、コスパを考えると素直にプロに任せるのが正解でした。
一方、日常の記帳(仕訳入力・領収書管理)は自分でやっています。銀行・クレジットカードの自動取込のおかげで、月次作業は数十分で完結しています。
この役割分担を可能にしたのが、マネーフォワード クラウド会計の「税理士招待機能」です。
同じデータをリアルタイムで税理士と共有できるので、「決算期だけ帳票ファイルをやりとりする」という非効率が消えます。日常は自分で入力 → 年度末に税理士がそのまま確認・申告、という流れがスムーズに回ります。
会計ソフトの詳しい比較は ひとり法人の会計ソフト比較。freee・マネフォ・弥生の最適解 にまとめました。
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- ひとり法人の会計ソフト比較。freee・マネフォ・弥生の最適解 — このPLを作った会計ソフトの選び方
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